SEO会社を辞めました。
最近は○○(会社名)を辞めました的なエントリーをよく見るけど、敢えて伏せようかと思った訳ではなく、ただ別に知名度もそんなに高くない会社だっただけなんですけど。
とりあえず、胸を張ってGMOでは無いという事だけは声を大にして言っておきたい。
※理由は同じ業界の人なら分かってくれるはずw
ただ、業界全体として再編が活発化しているのでこういう書き方をしても伝えたい事は伝わるかと思う。
※長文です。
[目次]
- 1.何で辞めようと思ったかの理由。
- 2.自分がやりたい事は何だったのか
- 3.なぜすぐに辞めなかったのか
- 4.具体的にSEO会社の顧客対応の現状って?
- 5.そんな状況で利益を出す旧SEO会社の仕組みって?
- 6.じゃあ営業やればよかったじゃん
- 7.社内の雰囲気って悪いの?
- 8.次の会社を見つけたきっかけ
- 9.今後の旧SEO、SEO会社の社員はどうなる?
- 10.まとめ
1.何で辞めようと思ったかの理由。
僕が働いていたSEO会社は、皆さんが想像するようなSEOだけを専門にやっている会社と言う訳ではなく、他にもいくつか事業を持っていました。
僕はそちらに興味があって入社したけども、会社全体としてSEOからの収益割合が非常に高く、その収益を上げている営業部署の社内的な地位が圧倒的に高かった事と、社長を含めSEO営業の経験がある人間が上層部にいたため、圧倒的に「売上数字」と言う指標が社内の絶対的正義として君臨していたので、何よりも目先の利益を求める事が優先される社風でした。
それにより、やりたい事が余り出来なかったのと、SEO専業に限界を感じたのが原因です。
(すぐに辞めた訳ではなく、それなりに何年か勤続している)
※詳細は後述
2.自分がやりたい事は何だったのか
僕は社会人になって10年程になるんだけどIT業界ではありながら中で作る側、外部からWebサービスを提供する側、営業、コンサル等々を経験してきたのでビジネス全般に割と知識があった。
その中で、例えばプログラマーがIT土方と揶揄されたりするように、自分の時間をそのまま給料に転換していくような働き方、残業代で給料を上げるような働き方は続かないし先が暗いと思っていた。
(当時の先輩や上司に言われた事もあるけど、個人の感覚です。)
ただ言われた通りに作るだけじゃなく、自分で考えて試行錯誤して成功や失敗を繰り返した経験を積んで、考えて仕事をする上流工程の仕事がしたいと思ったし、そういう仕事を出来るようにならないと、これから必要とされなくなるんじゃないかっていう危機感もあった。
だからコンサルとしての経験をさらに積めると言うこの会社の募集広告を悪く言えば鵜呑みにして入社した訳です。
3.なぜすぐに辞めなかったのか
これは半分意地もあるんだけど、余りにも自分がやりたいと思っていた仕事が出来な過ぎて、逆にそれを経験として積むまで辞めてやるかっていう部分と、予想外に担当したSEOの顧客対応の惨状に何とかしないといけないと思った事が大きい。
でも会社全体として営業の立場が強いので、SEOの顧客対応の現状を訴えても中々環境が変わる事は無かった。
それよりも売上、利益、数字が最優先。
ユーザーファーストならぬ、ユーザーラスト企業。
そんな会社でした。
だけど、割と自分の時間が自由になったので、SEOのセミナーに参加したり、勉強をして資格を取ったり、ひたすら本を読んだりして知見を深める事を頑張っていて、転職市場やWeb業界で評価されるような人間になってやろうって思って仕事してました。
結果的に、これが転職を決める上で利点になりました。
4.具体的にSEO会社の顧客対応の現状って?
これはどこの旧SEO会社でもほぼ全て同じだと思う。
(※旧SEO 5000円~30000円程度の格安な月額で、半年、1年、2年と長期間の契約を結んで被リンクを効果が出るまでドシドシ貼っていくと言う前時代的な施策)
こんな旧SEO企業の契約は半年とか1年とか2年って書きましたけど、その契約期間内にクレームが無かったり、あっても何とかギリギリのラインで【契約を更新】してくれるお客さんが何割くらいいると思いますか?
答え⇒だいたい30%くらい(2000年代後半~2013年調べ)
今回辞めるに当たって、色々なSEO会社に勤めてる知り合いに聞いて回ったけど、だいたいこれくらい。
もちろん中には20%くらいっていう所もあれば50%って言う会社もあるんですが、時期や内容によってかなり差があるのと、最近になるにつれ厳しい数字になっている気がする。
50%って聞くと半分なのに、かなりの優良企業だなって思ってしまうような感覚が旧SEO業界の悲しさでしょうか。
ちゃんと月額で7~10万くらいかけてコンサルレベルでやってる会社ならまた違う結果になると思うし、これが業界の正確な数字ではなく、あくまで僕が旧SEOと呼んでいる業界内の体感値の集合なので誤解しないで下さいね。
そんな訳でほぼ毎日クレーム電話を受けます。
担当する案件がクレームが無いように祈るばかりです。
もう担当社員同士でどんなすごいクレームを言われたか?を話のネタにするしかない状況です。
ここはもうひどかったクレームワースト10とかでランキングやりたい気分。
(需要あったらまた今度)
それに耐える仕事。
5.そんな状況で利益を出す旧SEO会社の仕組みって?
これも知り合いに聞いて回った結果、ほとんどの会社が
新規電話営業 >>>>越えられない壁>>>顧客対応(クレーム処理班)≒SEO対策実施
と言うカースト制度みたいな階層構造になっています。
SEO対策って言っても僕から見たらデータ入力のバイトと大差ないようなレベルでした。
そして営業は嘘にならないギリギリのトークをするのかと思いきや、結構嘘をつきます。
頑張ります!とかなんとかします!とか気持ちで話し始めて勢いで受注したりなんかすると後でひどい事になるのに、実際に交わす契約書と利用規約には、しっかりと【順位や効果や売り上げを保証しない】と言う文言が記載されていますが、皆さんあんまり気付かないようです。。。orz
と言うか、効果を保証できるSEOサービスなんてこの世に絶対に存在しないとこれまた声を大にして言っておきたい。
で、会社の印鑑をしっかり押して契約してるので、後でクレームになって消費者センターに訴える人がたくさんいるんだけど、相談に乗れないんですよね、企業対企業だから。
そして訴訟へ。。。
実際に訴訟にしたり、契約通りに支払いをしないと逆に旧SEO会社から督促がいく事になり、これって会社の信用問題につながるらしいです。
で、実際に外注で安い旧SEO会社に依頼する会社って、ほとんどが中小企業だけなんで、会社の信用が低下してお金を借りれないとか大変です。
なので圧倒的に泣き寝入りが多かったんじゃないかな。
知り合いとかだと、訴訟になっても勝てるよねって言うのを言ってる人もいました。
みんな、印鑑を押す前にしっかり契約書や規約は確認しようね。。。
でもそういう誤認しやすい契約書に対してもしっかり説明する義務があるとかで裁判の判例が旧SEO会社に対して厳しくなってるって噂を聞いたけど、これはどうなんだろう?
そうなってくれると旧SEOとしてはますます厳しくなるけど個人的にはそういう世の中になって欲しい。
6.じゃあ営業やればよかったじゃん
営業は営業で辛いのが、数字を上げられないと激詰めされます。
数字こそ正義なので、数字を上げられない人間は悪であり、罵詈雑言でののしられます。
録音して労基署に持って行ったら120%パワハラになるような内容ばかりだそうです。
その代わりインセンティブはいいですけど、ぶっちゃけ電話営業のスキルなんていくら積んでも将来に全く役に立たないと思っているんで、営業やるくらいなら即退職してましたね。
目先の金のために、金より大事な自分の時間を浪費したくは無かった。
ただ、会社が目先の金を追ってるので、自分のインセンティブにしか興味が無い人間ばかりでした。
そして営業が数字に厳しいのはどの会社でも同じだと思うけど、スキルや仕組みよりも電話営業トークを磨いていかにして顧客を落とすかを競うようなのってどうなの?とは思う。
7.社内の雰囲気って悪いの?
じゃあ最悪なのかっていうと、新規営業が他のほとんどの部署から嫌われていると言うのが大半だったけど、中には営業をしっかり管理している会社もあって、無茶な営業トークをしないように徹底している会社もあります。
そういう所は割とちゃんとしてたし、仲も良くプライベートでも遊んだりみんなでレクリエーションをしてコスプレパーティーとかスポーツとかBBQとか色々やってるらしい。
ただ、それでもギリギリのグレーゾーンの営業トークだったり、お客さんが勘違いしても仕方ない営業トークをする社員もいたりなので、これは各社様々でしたね。
本当に最悪の会社もあれば、同じ旧SEOを売ってるとは思えないくらい仲良しな会社もありました。
一蓮托生?何が違うのかなー。
個人的な感想だけど、社長が作る評価指標が違うんじゃないか?って思った。
8.次の会社を見つけたきっかけ
これは知り合いからの紹介です。
僕は旧SEO会社で一生働く事は全く考えてなかったしずっとチャンスを伺っていたので、積極的に社外に繋がりを作ったり、自分個人で仕事が出来るような経験を積んでいこうとしてました。
実際にお金をもらうと税金とかで色々問題になるので、お金をもらわずにSEOのコンサルをさせてもらったり、Web全般まで任せてもらったり、それで実績を作っていたりしました。
そういう人達には、会社を辞めたタイミングで謝礼を頂いたりもしたんですが、それよりも自分に色々な事を経験させてくれたり、僕の話を聞いてくれていい関係を作れたのが本当にありがたい事です。
で、僕が今後やりたい事って言うのをそういう場ではよく話していたんですが、今回はそんな色々な繋がりの中から、ちょうどマッチしている会社を紹介して頂けました。
この辺りは現在進行形の所もあり、まだ細かく書けないのでいつか書きたいと思う。
9.今後の旧SEO、SEO会社の社員はどうなる?
電話営業をしている方達の将来は暗いと思っています。
5年とか10年って考えたら仕事は無くならないにしても、そういう会社がSEOが売れなくなってする事は【次に売れる物を探す事】です。
商材が変わると営業トークも変わるしまた1から始めるんで潰しもききません。
そして世間一般的に【電話営業に対する風当たり】がドンドン強くなっています。
決済者には一切取次ぎさせない会社も多いです。
それに最近の若い子は電話をしないでLINEやその他のメッセージツールを使うので、採用しても電話営業として育てるのにも時間がかかるようになります。
また、今までのような軍隊式のような厳しい営業スタイルだとすぐに人が辞めるようになります。
この会社の商材は売れないって思った出来る営業社員も辞めていきます。
人材不足で営業先不足。それが行く末だと思います。
顧客対応をしていた方達
ユーザーサポートの部署は世間的にすごく必要とされていますが、給料はどんどん安くなっています。
日本だと、北海道が方言も少なくて人件費も安いので、サポートセンターを作っている所が増えているそうです。(多数のアルバイトも)
あとはSEOやその他の知識をどのくらい高めていくかにもよりますが、ちゃんとしたSEOやコンサルをする会社に入れるように努力しなければ先細っていくし給料も下がっていくんじゃないかなと思います。
業界的にはネットショップ系や決済サービス系、メディア運営等が人材を欲しているのでそっちに進むのもいいかもしれません。
SEO対策作業をしていた人達
これはどの程度深いところまでやっていたかにもよるんですが、旧SEOにありがちなメインのページのヘッダー内を書き換えたりするだけだと、何の付加価値にもならないので、ただのデータ入力レベルの仕事として見られると思います。
また、別のSEO会社に行って同じような仕事をするか、HTMLとかを勉強してマークアップエンジニアと言えるレベルにするか、Web制作会社でコーダーとしてスキルアップを目指すのがいいかと思います。
10.まとめ
ここまで酷評してきたけど、それでもSEOってなくならないと思うんです。
ただ、旧SEOからSEOになるためにしっかりとした知識と経験を積む必要があるし、渡辺隆広さんのSEO本を穴が開くまで読んでしっかり理解していくとかしなければいけないと思うんですが。
ただ、SEOだけだともうきついと思います。
なぜなら、世の中的に【SEOだけを依頼したい会社】って言うのがほぼ無いんじゃないかと思ってるからです。
SEOをやりたい会社って結局は売上を上げるための手段として、それに繋がる物を求めているんですよね、だからそれを提供できる会社、人間になっていかないと需要が無いはずなんです。
成果報酬のSEOにしても、顧客の求める成果と提供する成果に大きなギャップがあるから問題になっている訳で。
それに一緒に仕事をする場合、SEOを理解している人間とそうでない人間って、かなり違うと思うし、実際にSEOを理解してるデザイナーさんやディレクター、Webコンサル、メディア運営、ネットショップ運営の人ってそれだけで人にはない価値をもってるし、成果を出しやすいスキルだと思う。
これは体感ですが余りにも間違った旧SEOが日本に広まり過ぎたために、本質を理解したSEOを出来る(他のスキルもある)人間の希少価値、市場価値ってかなり高いと思うんで、この辺を狙うのはお勧めです。
自分が現在そういう状況で、SEO以外の仕事を含めてやるようになって実際にヒシヒシと感じていたりする事です。
だからこれからはSEOをやっていた人ほど、色々なポジション、役割についていって欲しいなって思う。
マーケティングの一環としてのSEOはすごく重要なんじゃないだろうか。
検索エンジンで何かを調べたり探したりしているユーザーを誘導していかにコンバージョンに繋げていくか?って言う視点。
それが出来てSEOも出来る社員が必要とされていると思います。
自分はインハウス側になって今までより上流の工程から仕事をする事になって勉強していた経営にも近づけて来てるけど、自分でちゃんとしたSEOを理解していて良かったとすごく感じています。
旧SEOが早く無くなって、日本のWebがもっと気持ちいい物になるといいなー。
と思いつつ、これからこのブログに何を書いていこう?
と迷いながら。
最後に
契約をする時は契約書と規約をしっかり読んで、分からない事は全部営業に確認して、出来るなら全て録音して下さい。
中で頑張ってる人は、その頑張りが会社の外からどう評価されるのか?を考えて行動する事をお勧めします。
これを読んだ同じ境遇の人が少しでも救われるといいな。